政治経済カテゴリで長らくコピペもとい、読書感想文を書いてきましたが、今回の「日本再興戦略」をもって、最終回にしたいと思います。(別のカテゴリで新連載を始める予定です。コピペの量を減らして、要約と意見の量を増やしていく予定です。)
ではさっそくはじめたいと思います。今回、ご紹介するのは、この本です。
落合陽一先生は、大学の教員をやったり、経営者としてビジネスを行ったりして、大活躍しているマルチな才能の持ち主、まぁ天才といってもいい人です。いろいろ難解なことをおっしゃるので、我々のような庶民には理解することが難しいのですが、最近セクハラ問題で文春砲をくらった「死ぬこと以外はかすり傷」が信条の編集者がわかりやすく編集しているので、頭があまりよろしくないアテクシでもなんとか読むことができました。
ちょっと納得できない部分もありますが、全体としては、まぁなかなか先見の明にあふれた提言だと思います。
・落合陽一の日本再興戦略とは?
ではさっそく、彼の「日本再興戦略」とはどんなものなのか?という点について、3行ではまとめられませんが、おおよそのところをざっくり見ていきましょう。
「欧米という概念を見直す」
日本は国策によって急激に近代化を果たした国である。明治時代以降に手本にしたのはいわゆる欧米型と言われる欧州型と米国型であった。
1945年以降は、米国主導で、戦勝国型を手本にして国をつくってきた。欧米という概念を一度見直してみるのがこの本の趣旨である。これは第一章で詳しく問う。
1945年以降の日本は、足並みをそろえ、官僚がトップダウンで政策を作った世界だったので、個人は自分の考えを明確に持たなくても良かった。しかし今、我々は個人の時代を迎えている。新しいスキームやスキルセットが必要とされる時代に置いては、考えるための道筋がないとフレームが作れない。
旧世代の教育を受けた人々が今後の世界に適応するためにどうやってモノを考えたらいいか?という基盤を習得することが必要である。第二章では、日本とは何か?日本人とは何かを歴史から考える。
今、「日本をなんとかしないといけない」という思いを多くの人が持っているはずだが、今の日本人の意識はネガティブすぎるので、意識改革を行わなければ、その方法がみえてこない。
生産性が低いことはよく言われることであるが、今の社会システムであれば、生産性が低いのは当たり前である。我々が受けている教育は人に言われたことをやるのに特化していて、新しいことを始めるのに特化していないからだ。
20世紀の工業社会においては、そのほうが都合が良かったと言える。車やテレビを作って儲ける時代においては、皆が均質の教育を受けていて、何も言わなくても足並みが揃うので、コミュニケーションコストが低く、同調によって幸せを感を演出することができた。
幸せは演出され、成長は計画されてきた。しかし、今は工場さえも機械知能化されていっている。その作業工程で人は足並みをそろえる必要がない。少数の生産性の高いデザインチームと作業機械への親和性があればよい。
高度経済成長の正体とは、「均一な教育」、「住宅ローン」、「マスメディアによる消費者購買行動」の3店セットだと考える。
国民に均一な教育を与え、住宅ローンにより家計のお金の自由を奪い、マスメディアによる世論操作を行い、新しい需要を喚起していく戦略である。
しかしこの戦略では、日本人一人あたりの生産性はどんどん下がっていく。今のシステムでは、日本でやる必要のないことも日本でやってしまうし、働く必要のない人を高給で雇わなければならない。
これは、隠蔽体質、炎上気質、パワハラ、いじめと行った労働問題を引き起こすもととなる。
このような機能しなくなったシステムを見直して、新たな価値が生まれるシステムを作り直す必要がある。
新たな価値を創出するには、一つの技術を極めるだけではなく、様々な知識や技能を身につける必要がある。
特に、経営者にとっては、アートの価値観は大事であろう。なぜなら、アーティスティックな価値観や考え方がないと、人が時間をかけて作ったものや、深い価値のあるものを正しく評価できないからだ。
そして、教育、研究、経営、アートに影響を与えるのが、AI、VR、5G、ブロックチェーンといったテクノロジーであろう。
第三章では、テクノロジーは日本と世界をどう変えるのか、テクノロジーを日本はどう生かしていくのかというテーマを詳しく考えていく。
今の日本は、経済と教育と文化と技術が密接に結びついたエコシステムを考えることが求められている。
第四章では、人口減少、少子高齢化が進む日本におけるグランドデザインを描き、第五章では、経済、仕事、政治、国防、教育、などの切り口から、日本再興戦略を語っていく。
・アテクシの意見
日本はこの先どうなっていくのか?
現状のままであれば、日本はこのまま衰退して、別の国に併合される運命ではないかと思います。歴史を見ても、国の興亡は頻繁に起こっているわけで、日本だけが例外ということはないでしょう。(まぁ、オカルト界隈には日本は永遠に続く神の国であるみたいな話もないことはないのですが、それは一旦置いておきます。)
最大の問題は、少子高齢問題ですね。人口が減っていくということは、それだけ富=付加価値を生み出す人が減っていくということですね。日本は天然資源が少ないので、人が減るということは、富を生み出す力が比例して減っていくということですので、その富によって支えられてきた社会保障や福祉も削減されていくことになるはずです。
若いうちは、社会保障に頼らずともなんとかなると思いがちですが、歳をとって、体が不自由になったり、頭が働かなくなったりしたときに、ある程度の資産がなければ、かなり厳しい老後を強いられることになるでしょう。
しかし、現状、日本人の大半は、老後の生活を手厚い医療保険や年金といった社会保障に頼っているわけで、自分が築いたり、先祖から受け継いだ資産で老後の生活のまかなっている人はそう多くはありません。
そうした未来が到来することをみなさん、薄々は感じているかと思うのですが、嫌なことは先延ばしにしたい習性が人にはあるので、見ないことにしている人が大半なのではないかと思います。
そうこうしているうちに、少子高齢社会はどんどんと進展していき、解決不可能な段階にまで達してしまった気がしないでもないのですが、まだ諦めるのは早いのではないか?というのが、この本を読むと伝わってくる気がアテクシはいたしております。
落合先生のご提案はマイルドな現代日本人には過激だと思われる部分もあるので、そのまま受け入れることはできないかもしれませんが、参考にすることで、さまざまな問題を解決するヒントになるのではないかと思います。
そんな感じで、まったりと、この本を題材に感想文を書いていきたいと思います。