heisoku『ご飯は私を裏切らない』(KADOKAWA)全1巻
カドカワのWeb漫画サイト『ヤングエースUP』で2019年に連載されていた作品です。
都市部で短期バイトをかけ持ちしながらなんとか生活している29歳女性の「私」が、日々の困難や先行き不透明な人生の絶望感に圧倒されつつも、平凡な食事にささやかな解放感と癒やしを見出す…というのが概要です。
ジャンルはグルメ漫画なもののギャグ・コメディ色が非常に強いです。強いというかほぼそちらがメイン。いつも目が死んでてネガティブかつローテンションな「私」が矢継ぎ早に繰り出すモノローグとパンチのあるフレーズの数々は圧巻です。彼女の思考はしばしば連想ゲームのように飛躍したりフルスロットルで疾走したり混沌としているのですが、そうした一人脳内会話の生々しさを残しつつ漫画という形態に自然に落とし込んでいるのは上手いなと思います。普通の人々と「私」の噛み合わなさや人生の閉塞感が絡みついて微妙な息苦しさを醸し出しているあたりもなかなかシンパシーを覚えるところですが、ひたすら滑稽に仕上げているので辛さや痛さを感じることなく笑いに徹することができるのも良いです。
キレのあるセリフが多い中で私が好きなのは「足りないのは能力じゃなくて10億円ね…」(第5話)と「なぜ感情はあるの?昆虫みたいにシステマティックが良かった」(第7話)です。よくわかるよ、その気持ち……。