みなさんこんにちわ。なぜわれわれがこのような苦しみに満ちた世界で生きなければならないのか?という疑問については、仏教関連の書籍を読んでもらうとして、我々の肉体が存在する日本という国を覆っているこの閉塞感の源がどこにあるのか?という疑問については、前回の「知ってはいけない」を紹介していくなかで、多少なりとも答えが見つかったのではないでしょうか?
今回は「知ってはいけない」の続きである「知ってはいけない2」を紹介していきたいと思います。まだやるの?という声がどこからか聞こえて来ますが、これはアテクシが患っているメンタルな病のせいなので、気にしないことにします。
前回の「知ってはいけない」では、四コママンガを次の章に進んだときに紹介していましたが、今回は最初から紹介していきたいと思います。
ではさっそく本書を読み解いていきましょう。
「日本は記憶をなくした国である。」
みなさんは官僚についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?優秀、ずるい、頭がいい、ロボットみたい(某ユーチューバー風)、などポジティブにしろ、ネガティブにしろぼんやりとしたイメージを抱くにせよ、はっきりとした印象は思い浮かばないはずです。なぜなら、市役所のお役人と違って、彼らは雲上人であり、われわれとなんの接点もないからです。
とはいえ、日本の法律は彼らによって作られています。政治家が法律をつくっているんじゃないの?と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、議員によってつくられる法律はほんのわずかであり、ほとんどの法律は内閣=政府=官僚の手によって作られています。どうしてこんなことになっているかというと、ひとつの法律には別の法律がからみ、そのまた別の法律がまたからむといった具合に、複雑な法体系を一人の政治家がすべて把握することなど不可能だからです。
とはいえ、いくら優秀な官僚といえども同じ人間ですので、すべてを一人で把握できるわけがありません。しかし、優秀な官僚の集合体である官僚組織=霞が関はひとり、ひとりの優秀さに加えて、長年培ってきたノウハウもたくさんありますから、法律のどこをどういじれば、問題なく新しい法案を法律として成立させることができるのか?ということを熟知しているわけです。
そんな官僚たちなのですから、日米の間に密約があったとしても、きちんと資料にまとめられて、保管されているはずと普通は考えますよね?しかし実態は、かなりいい加減なもので、資料としてまとめられてすらいなかったのです。(正確には引き継ぎのメモらしきものはありますが、その程度のものしかないのです。)そして、その全体像をだれも把握せず、何十年も過ごしてきたのです。これでは米国にいいようにやられるのが当たり前です。
現在問題になっている財務省や防衛省の文書改ざん、隠蔽問題も、根っこの部分はこのあたりにあるのではないでしょうか?
一方、米国はというと、密約を含む外交文書はきちんと保管し、作成から30年経てば基本的には機密を解除し、国立公文書館に移して公開することが法律で決まっているので、国務省(日本でいうところの外務省)の官僚はウソがつけないのです。(ただし、軍関係やCIAなどがかかわる文書については公開されないこともある。)
そんなわけですから、政権が交代しても、密約がはっきり伝わらずに適当な対応しかできないわけです。
戦後の総理大臣に大きな密約を結んだ2人の政治家がいます。岸信介と佐藤栄作です。名字は違いますが、二人は実の兄弟です。岸信介は安倍首相の祖父でもあります。
その佐藤栄作が兄である岸信介が安保改定のときに結んだ密約についてどういっていたかというと、「どうも岸内閣のとき、そういうものが若干あったらしいんだな。よくは知らんけど」
といった感じなわけです。「よくは知らんけど」ってなんか、ギャグみたいなセリフですよね?一国の首相がそんなことでいいのか!とか別に憤ったりはしませんけど、なんだか力がぬけてしまいます。佐藤首相はこの密約だけではなく、自分が関わった沖縄・核密約(有事における沖縄への核配備を認める密約)についても、交渉担当者からこの機密の保持について気をつけるように言われたとき、「それは大丈夫だよ。愛知(当時の外務大臣)にも言わんから。(密約文書)破ったっていいんだ。一切言わん。要するに君、これは肚だよ」と言っています。
これはどういうことかというと、佐藤首相は密約なんてものは、首相と大統領が個人的に交わした約束であって、国と国の約束であるとは微塵も考えていなかったということです。
もちろん米国側は密約を政府と政府が結んだ正式な条約だと認識しているわけで、それが今日まで続く、日米間の交渉力の差となって私達を不利な状況へと徐々に追いやっているわけです。(密約といえども、国際法上、通常の条約や協定と同じように両国を拘束するというのが国際的な常識です。)
この本ではそのあたりのことが具体的に書かれているのですが、全部説明するのはめんどくさいというか、本を読んだ方が早いような気がするので、そのあたりは簡単な説明(とはいっても、けっこう長くなるかも)でお茶をにごしておきます。
前回の「知ってはいけない」では主に日米安保条約にまつわる密約について書かれてありました。今回は主に沖縄返還と核持ち込みの密約について書かれてあります。その中でどのように密約が結ばれ、その書類が適当にあつかわれ、改ざんされてきたのか?ということが語られているのです。
1963年米軍の原子力潜水艦ノーチラスが日本への寄港を要請したことで、日本に寄港しているアメリカ艦船のなかに核兵器を積んでいる船があるのではないか?という疑惑が国会で大きな問題になりました。
なぜこのことが大きな問題になったかというと、3年前の1960年に岸政権のもとで日米安保が改定され、日本に配備される米軍の重大な軍事上の変更については、日本政府が事前に相談を受けるという「事前協議制度」が新設されていたからです。
当時の首相である池田首相は日本に核兵器を持ち込むことを拒否しました。しかし、実際にはその10年前の1953年から核兵器を積んだアメリカの艦船は日本に寄港していたのです。
なぜなら、1960年の安保改定と同時に結ばれた密約により、核兵器を積んだアメリカの艦船が日本に寄港することはお互いが了承済みだったからです。
池田首相のもちこみ否定発言により、あわてたアメリカは当時の外務大臣である太平外務大臣を呼び出してそのことを確認しました。つまり、政権から政権へと密約が伝わっていなかったのです。
その後の佐藤政権についても密約は伝わっておらず、おなじことを繰り返すはめになりました。
そして最大の問題は、日本政府は現在まで公式見解として「核兵器を積んだアメリカの艦船が日本に寄港した事実はない」と言い続けていることです。
なぜこのような混沌とした状況になっているのでしょうか?
それは、すべて「核密約に関する外務省の重要文書が改ざんされている」ことにあります。この「知ってはいけない2」では、日本政府がその場限りの対応をおこなったことで、長期的な国益がどれほど損なわれたのか?ということについて考えていきたいと思います。
第一章まとめ
・日本の官僚は優秀だが、長期的な国益は別に考えていない。
・日本政府が見え透いたウソを言っても、アメリカの公文書館に保管されている資料ですぐにバレる。
・官僚組織では都合の悪い資料は都合よく紛失したり、改ざんされることがよくある。