知ってはいけない

国連憲章43条とは、実現しなかった「正規の国連軍」についての条文です。

そこには、すべての国連加盟国が、国連安保理とそれぞれ独自の「特別協定」を結んで、国連軍に兵力や基地を提供し、戦争協力を行う義務を持つことが定められています。

一方、 106 条というのは、そうした国連軍が実際にできるまでのあいだ、安保理の常任理事国である五大国は、必要な軍事行動を国連に代わって行っていいという「 暫定 条項」です。これは本来、短期間だけ有効な過渡的な条項として国連憲章に書かれたものだったのですが、その後、国連軍がいっこうに成立しない状況のなか、五大国に非常に大きな特権を与える条項となったため、そのまま削除されずに残ってしまったわけです(現在でも依然として残っています。)

「知ってはいけない」より引用

つまり、「国連加盟国は国連軍に基地を提供する義務を持つ」という43条を106条という暫定条項を使って読み替えることで、日本は国連軍ができるまでの間、国連の代表国であるアメリカに対して、基地を提供することができるというわけです。

さらにいえば、この法的トリックを受け入れてしまった場合、国連憲章 43 条が加盟国に提供を義務づけているのは、基地などの「 便益」だけではなく、「 兵力」や「 援助」の提供も同じく義務づけているので、最終的にアメリカは日本に対して、あらゆる軍事的な支援や兵力を提供させて、それを米軍の指揮のもとに使う法的権利を持っているということになります。

「知ってはいけない」より引用

うーむ。なんという屁理屈でしょう。こんなことは常識的に考えたら通りそうもないような気がするんですが、軍事占領されている悲しい身の上である日本には抵抗する術がないんですよね。

「突然の朝鮮戦争によって生まれた「占領下での米軍への戦争協力体制」が、ダレスの法的トリックによって、その後、六〇年以上も固定し続けてしまった」 ということです。 だから現在、私たちが生きているのは、実は「戦後レジーム」ではなく「朝鮮戦争レジーム」なのです。 朝鮮戦争はいまも平和条約が結ばれておらず、正式に終わったわけではない(休戦中) ので、当時の法的な関係は現在もすべてそのまま続いているからです。

「知ってはいけない」より引用

これで戦後日本の闇はすべて暴かれました・・・。しかし、現状はどうすることもできないんですよねぇ。まだまだ米国は衰えたりとはいえ、世界の覇権を握っているわけで、日本が独自でなにか行動を起こそうとしても潰されるだけのような気がします。

実際こんな感じですからねぇ。

「太平洋軍司令官は昔から植民地総督のような存在 で(略) 最もましなときでも外交政策と軍事政策の境界線を曖昧にしてしまい、最悪の場合は両方の政策をぶち壊しにしてしまう傾向があった。誰が軍司令官になろうが、それは変わらなかった。 これは太平洋軍司令官という役職にずっとつきまとっている問題 だろう」(『ライス回顧録』

なにしろ日本人の人権は、アメリカのコウモリや遺跡よりも、米軍から圧倒的に低く扱われているのです(第六章)。真正面からその事実を示して堂々と交渉すれば、 「いや、それは今後も続ける」 といえる大統領も国務長官も、さすがにいないでしょう。

「知ってはいけない」より引用

作者はこんな感じで、話せばわかる、って言ってますけど、なんらかのデメリットが米国側に生じない限り、この関係は日本か米国が滅びるまで続きそうな気がします。

こんな感じで、ほとんどコピペのような気がしないでもないですが、「知ってはいけない」の紹介を終えたいと思います。

なるだけ短くまとめようと思ったので、(とはいっても、かなり長いんですけど・・・。)いろいろ端折ったところも多いので、よくわからない部分も多々あったと思いますが、興味を持たれた方は実際に本書をお読みいただくのがよいかと思われます。長々とお付き合いいただきありがとうございました・・・といいたいところですが、実はこの本には続きがあるんですよね。ゆえにもうちょっとだけ続きます。よかったらそちらもどうぞ。

「最終章まとめ」

・日米安保条約では、集団的自衛権が発動されない。

・今後、自衛隊が海外で戦争を行う可能性がある。

・ダレスは詐欺師。

そうですねぇ。まぁ、米国本土が本格的に戦争状態になるということは考えづらいので、トランプさんの心配は杞憂でしょうねぇ。むしろ、朝鮮半島や日本が戦場になる確率のほうが高いので、どちらかというと、米国人がサムソンのテレビでその様子をポテチ食べながら見てそうですね。戦争にならないのが一番いいんですけど、最近はあちこちきな臭くなってますからね。怖い世の中です。

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