「ひきこもりが知っておきたい政治経済の話」でやるつもりだったのですが、なんか投稿できないので、こっちでやることにしました。
ではさっそくこちらから。
けっこう長くなりそうなので、何回かに分けてやっていこうかと思っております。
第一章 「日本の空は米軍に支配されている。」
みなさんは在日米軍について、どんなことを感じていらっしゃるでしょうか?
普段、生活していると、たまのニュースぐらいでしか、在日米軍について知る機会はないと思います。もちろん、沖縄など、米軍基地が住居の近くにある人は、いろいろな話を日常的に聞いていることでしょう。しかし、在日米軍がどういう法的根拠をもって、日本に駐留しているのか?ということを説明できる人は少ないはずです。
この本は、戦後GHQによって日本が支配されていた時代から、日本と米国というよりは、米軍との関係をさかのぼって、調査していくことにより、日本と在日米軍のいびつな関係を明らかにしたものです。こういうふうに書くと、まるで陰謀論のようですが、(著者も作品内で自嘲気味に陰謀論よばわりされたことを書いています。)さまざまな事実を元に組み立てられた文章はかなりの説得力を持っていると思います。
ではさっそく内容を見ていきましょう。
「なぜ日本の航空機は自由に領空を飛べないのか?」
「知ってはいけない」より引用
「横田空域」というのは、米軍が訓練などで使用するために、日本の航空機が避けて飛ばなければならない空域のことです。
首都圏の上空にこんなものがあることを、ほとんどの人は知らないのではないでしょうか?私もこの本を読むまではまったく知りませんでした。
では次に沖縄の空を見てみましょう。
沖縄へ旅行したことのある人は、飛行機が那覇空港へ着陸していくとき、何十キロも手前からぐっと高度を下げ、かなりの時間、低空飛行することをよくご存じでしょう。 青い海と白い波しぶき、そしてエメラルド・グリーンのサンゴ礁……じつに素晴らしい眺めをじっくりと楽しむことができます。しかし、もちろんそれは乗客へのサービスのためにやっているわけではないのです。
なぜ私たち観光客が、そういった低空飛行をしなければならないのか。それは本土から那覇空港に着陸する民間航空機の航路が、嘉手納や普天間の米軍基地に離着陸する米軍機の航路と交差しているため、三〇キロ以上手前から、高度三〇〇メートル以下で飛ぶことを義務づけられているからなのです。 他の独立国ならありえない話なのですが、外国軍の軍用機が安全な角度で離着陸できるよう、自国の旅客機は非常に危険な低空飛行を強いられているのです。
「知ってはいけない」より引用
この嘉手納空域は2010年3月に日本に返還されています。しかし、いまだ日本の航空機は沖縄の空を自由に飛ぶことができません。なぜなら、「米軍優先空域」がひそかに設定されているからです。
ご覧のとおり、それは米軍・嘉手納基地を中心に、長さ一〇八キロ、幅三六キロ、高さ一二〇〇メートル(高度六〇〇メートルから一八〇〇メートルまで) の大きさをもつ巨大な米軍優先空域です。沖縄本島は長さが約一〇〇キロ、幅が最大約二八キロですから、この図を見てもわかるとおり、そのほとんどがすっぽりとこの空域に覆われてしまっています。
私たち観光客が、いまだに那覇空港に到着するとき、危険な低空飛行をしなければならないのも、沖縄本島およびその周辺の上空は、高度六〇〇メートル以上のほぼ全域が、この巨大な米軍優先空域になっているからだったのです。 ですから民間機はその下を、少し間隔をあけて高度三〇〇メートル以下で飛ばなければならないことになっているのです。
「知ってはいけない」より引用
なんということでしょう。日本の空は完全に米軍によって支配されているのでしょうか?
そこで二〇一〇年の沖縄での「嘉手納空域の返還」と同じように、一九五九年の本土でも、日本の空(=航空管制権) はすべて日本へ返還するという、オモテの取り決めが結ばれることになりました。ところがそのウラ側で、やはり沖縄と同じく、密約によって巨大な米軍優先空域が設定されてしまったのです。
その「手口」は次のようなものでした。 まず、本土上空の航空管制権はすべて日本に返還するが、ただし「米軍基地と その周辺 は例外とする」という密約を結ぶ。さらに密室の協議によって、「その周辺」という言葉の意味を途方もなく拡大していく。
「知ってはいけない」より引用
な、な、なんと、ちょっとだけよ・・ちょっとだけよ・・・といいながら、どこまでも権利を拡大していくやり方で、日本の空は完全に米軍のものになってしまっていたのです。ということは、オスプレイなんかも飛び放題なのでしょうか?
二〇一一年には、この訓練ルート上で年間一五〇〇回以上の軍事演習が行われており、さらに翌二〇一二年からはこの回数に、普天間基地に配備されたオスプレイの訓練回数が加わっています。
「知ってはいけない」より引用
どうやら飛び放題のようですね。しかし、いくら密約があるといえ、なにか問題が起これば、政府の責任になるわけで、何の対策もしていないのでしょうか?
左は一九五二年、占領終結と同時に、新たに制定された日本の国内法(航空法特例法) の条文です。そこにはまさに、身もフタもない真実が書かれているのです。 航空法特例法 第 3 項 「前項の航空機〔= 米軍機 と国連軍機〕(略) については、 航空法第6章の規定は(略) 適用しない。」
「知ってはいけない」より引用
航空法第6章の規定とは、簡単にいうと、飛行禁止区域、制限速度、離発着の場所など、航空機の安全な運行のために定めた法律のことです。これを米軍は守らなくても、違法でもなんんでもなく、もともと合法だったということなんですね。
対策もなにも、合法だから問題ない。という姿勢が前提にあるので、米軍が起こした事件や事故に関してもいまいち抜本的な対策をとることなく、今日まできているのかもしれません。
とはいっても、すべての密約が日本の国内法として合法になっているわけではありません。米軍がいかに巨大な利権を密約から合法へと推移させていくのか?という恐るべきテクニックについては次章以降に書かれてあるので、ぼちぼち紹介していきたいと思います。
「第一章まとめ」
・米軍は自由に日本の領空を飛行することができる。
・そのことは、航空法によっても明記されている。